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Mon Jun 15

米軍に対抗する唯一の効果的武器

リック・アトキンソン記者

それは2003年3月29日、土曜日の朝、生還した1人の目撃者の証言によれ
ば、爆発音と「大きな白い爆風」から始まった。

ナジャフの北、ハイウェー9号線のアメリカ陸軍検問所で、イラク進攻の
最初の派遣部隊の第3歩兵師団の4人の兵士は、午前11時30分にオレンジ
と白のタクシーの検査を始めた。そのときトランクに仕掛けられた100ポ
ンドのC-4プラスチック爆弾が爆発したのだ。

爆発はセダンを道路から15フィートも吹き飛ばし、兵士、タクシー運転
手(自爆テロ犯 )、自転車の通行人を殺した。

半マイル離れた指揮所から現場に急行した大隊指揮官、スコット E.ラ
ター中佐は、ハイウェー9号線で煙をあげるクレーターと損壊した死体を
見て、「我々は完全に今までとは異なった戦争の領域に足を踏み入れつ
つあると認識」した。

現在、速攻爆発装置(IED: improvised explosive device)として知られ
ている爆弾の最初の致命的な爆発以来、米軍筋によれば今年の25,000件
を含めて81,000件以上のIED爆発攻撃がイラクで起きた。

この戦争は、本当にこれまでと「完全に異なる」戦争なのか。自爆攻撃、
車両爆弾、路肩爆弾など多くの変形したIED爆弾がイラクとアフガニスタ
ンにおける戦争の象徴的な武器になった。

第一次世界大戦の機関銃、1991年の湾岸戦争のレーザー誘導「スマート
爆弾」と同じくらいの象徴的な武器になったのだ。

IEDは、イラクの3,100人のアメリカ兵の戦死のほぼ3分の2を引き起こし、
戦傷ではさらに高い割合を占めている。

今年だけでも7月中旬までに約11,000人のイラク民間人への被害と600人
以上のイラク治安部隊の死をもたらした。

9月22日現在で21,200人のアメリカ人を死傷させた路肩爆弾がこの戦争を
特徴づけており、誤算と不測からアメリカはイラクで軍事的に勝てない
でいる。

この武器との戦いは、戦争のイニシアティブ、すなわち予測し対抗策を
とり、それへの敵の反対抗策へ対応するという厳しいサイクルを回復す
る継続的な努力だった。

いわゆる路肩での戦いという、隠れた爆弾を発見するか、効力を消すこ
とによってだけでなく、国防総省幹部によると、イラクの少なくとも160
の反政府組織を作った融資者、戦略家、爆弾製造者、実行者の闇のネッ
トワークを確認し、破壊する戦いでもあった。

しかし、国防総省は主にIEDと戦うために過去4年でほぼ100億ドルを費や
したのにもかかわらず、さらに45億ドルを2008会計年度の予算に組んで
いるが、IEDは「我々の配備された軍隊に対抗する唯一効果的武器」とい
うペンタゴンの認識は今も変わらない。

2003年という早い時期に将校たちは、爆弾が造られ仕掛けられる前に、
反政府細胞を崩壊させることによりIED攻撃を鎮圧する「からめ手」作戦
を検討していた。

しかし、IEDに対抗する努力が圧倒的に集中したのは「正面突破」作戦で、
爆風の影響を軽くする、より頑丈な車両と、精神的外傷(トラウマ)対策
を施すことに向けられた。

たとえば(無線起爆装置を無効にするため)14種類の電子妨害装置に30
億ドル以上を使ったが、このために時々友軍の無線も働かなくなってし
まった。長い間、IED対策は防御的、対処療法的で、結果的には不十分だ
った。

「IED攻撃は短期の戦争の一時的な困難であり、科学は問題を解決すると
いう不変の信頼」によって対策を練るというのがそもそもの間違いだっ
たのだ。「アメリカ人は技術的な解決を望む。

彼らは魔法の杖を望んでいるのだ」と、アーク・メイシー海軍少将(ワ
シントンの海軍地上戦センター指揮官)が言う。

センターでは現在いくつかの反IED技術を監督している。「IEDの解決は、
政治的、軍事的な戦略、活動、諜報など全ての国力 にかかわるのだ」

イラク戦争前、軍の参謀たちが予想もしなかったこの武器に対する高く
ていらつく闘いは、一部の国防総省当局者が長期戦争と呼び、2003年の
楽勝がどのように2007年の泥沼になったかを理解するためにユニークな
レンズを提供している。

米国の犠牲者が増えるに従って、IED対抗策の研究は焦眉の課題になって
いった。ミツバチと猟犬を使って爆薬を捜した。兵士は間に合わせの防
護服に身を包んだ。妨害電波を増やし、IEDを破壊する技術も考案してい
った。

それでも爆弾は爆発し続け、兵士は死に続けている。毎日100発ほどの
IEDが爆発し、それと同じくらい爆発前のIEDを発見している。

爆発は2006年1月には1日あたり50発ほどだったから倍増している。今年
の3月には月間で初めて3,000発を上回る3,229発で記録を更新した。

5月と6月も3000発を上回った。ある大佐が言う。「驚くべき数字だ」ア
フガニスタンでは、IED攻撃はイラクと比べれば少ないものの、数字も急
上昇している。

2002年は22発、2003年は83発、2006年は1,730、今年の前半は1000発を超
えた。

自爆攻撃は特に悪化し、国連によると昨年は123件、今年はさらに増え続
けて5月だけで22件を数えた。

武装ゲリラは、シンプルで、安くて、しかも致命的な爆発装置を造るた
めに家電技術を手際よく導入した。離れたところからスイッチを動かし
て爆発させることができる。

過去5年に、爆弾製造者は6つの主要な起爆装置(プレッシャープレート、
携帯電話、コマンド無線、低出力無線、高出力無線、赤外線を利用)を
開発し、米国は何十もの防衛技術を開発して対抗した。

いくつかは成功し、いくつかは失敗した。「武装ゲリラは、米軍のIED対
抗策が発達すると比較的短い期間で彼らの能力を高める」と米国科学ア
カデミーは今年始めに報告した。

2年以上バグダッドで働いているアメリカの電気技師は、より率直に語る。
「私が有利だなんてとても思えない」IEDとの闘いは、鈍重なソビエトシ
ステムに直面するために冷戦の間に形作られた鈍重な軍産複合体の機動
力を試す機会にもなっている。

「我々がアルカイダを屈服させたいのなら、彼らに我々の兵器調達シス
テムを採用させることだ。そうすれば1週以内に彼らは屈服する」と、前
国防総省当局者が自嘲する。

3年の間、IED対抗策に取り組んだ退役将校が述懐する。「みんなが怪し
げな毒薬入りジュースを飲んでしまった。我々は信じていたし、そして、
議会も同様に有罪なのだが、アメリカはテクノロジーの源泉であり、こ
の問題の解決は科学で可能だと。

『我々がしなければならないすべてはテクノロジーをそれに向けること
だ、そうすれば問題は去る』と。我々が戦争に負ける日、それは槍と褌
の未開人に負けることになるのだろう。

彼らはテクノロジーに拘束されないのだから(自由に攻撃を仕掛ける)。
我々はどうやらそういう方向に向かっているようだ」

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